1993年3月3日 11:00〜12:00
わくわく11時ほっとスタジオ
ぶっちーのあなたが1番
前年、田部井淳子さんらと清掃トレッキングに参加したことを聞きつけたBSNラジオから出演の依頼があった。
アナウンサーの「ぶっちー」こと古渕さんが、リードしてくれて話は進んだ。
ぶ 古渕
す 杉本
ぶ ぶっちーのあなたが1番のコーナーです。今朝もそうだったんですが、空気がピーンと張りつめて澄んでいますと、遠くの山々がとっても美しく見えますね。上越には美しい山というのがたくさんありますから、山に魅せられている人が多くて当たり前かも知れません。ですが、山を愛しながら、自然保護に力を注いでくださっている、今日はそんな清掃トレッキングにスポットをあてました。今日のゲストは、上越市東本町にお住まいの杉本敏宏さんでございます。杉本さんこんにちは。
す こんにちは
ぶ ようこそおいでくださいました。また、杉本さんはですね、上越こぶし山の会の会長さんでもいらっしゃるんです。はい。えー、上越こぶし山の会というのは、いつくらいに発足(はっそく)したんですか。
す んー、上越市がー、できた頃ーですね。
ぶ となると、20年に。
す はい。
ぶ なるわけですね。あ、そうですか。
す そうなんです。
ぶ やはり、山の、愛する方とか、山に、山を、も、大好きだっていう方の集まりなんですか。
す そうですね。
ぶ 年代的には。
す んーん、発足した当時は20代の人が多かったんですけれども。だんだんみんな歳をとりました。
ぶ じゃ、20台。今40台ということですね。計算していきますとね。
す そういうことです。
ぶ そうですか。えー、上越こぶし山の会という会ではですね、活動的には、どのようことをなさっているんですか。
す ん、やっぱり、あのー、山岳会ですから、山へ登るのが一番の、メインのね、活動です。だいたい、1ヶ月に1回は行こうという事で、計画は立てているんですけれども、雨降ったり、雪が降ったりすると、すぐ、「やめよ」ということで、やめてしまうんです。
ぶ そうですか。えー、この「こぶし山の会」名前からしてもユニークなんですけれどもね。なぜ、「こぶし」なんでしょう。
す あー、そうですね。会ができた時、わたしーは実はいなかったんですよ。
ぶ えー。
す でー、東京にいましたもんでね。あのー、こちらへ戻ってきて、こぶし山の会に入れてもらったんですけども、だから、いきさつはよくわからないんですけど、「山にこぶしの花がきれいに咲いている」とか、アーー、「がんばろうっていう時には、こぶしをあげる」
ぶ 「こぶしをあげる」
す アッハハ、そういう意味とか、まぁ。
ぶ なるほど。
す 創った頃ーーの人は、そんなこと、いろいろいってましたけどね。
ぶ えー。
す ま、どれが本当か、ま、ちょっとよくわからないです。
ぶ じゃ、いろいろな意味を含んでいるこの名前なんですね。
す えーえー、ひとつではなくてね。
ぶ んー、そうですね。とらえようによってはいろいろあるということですねぇ。さて、そんな杉本さんがですね。なぜこの清掃というところに着眼されたのかっていうところがあるんですが。
す うーーん。あのー、やっぱり、山へ行きますとねぇ、そのー、見た時には山はすごくきれいですよね。
ぶ えぇ。
す で、山から、その、見た回りの景色もすごくきれいなんだけれども、その、足元に空き缶が転がっていたり、お菓子の、そのーー、袋が散らかっていたり、ちり紙がおっこってたり、タバコの吸いがらおっこってたり、ていうと、んん、回りが余りにも良すぎるために、よけいそれが目についてしまう。
ぶ あぁー、そうですか。
す で、「あぁ、これは何とかしなけりゃいかんなぁ」というのがやっぱり、出発ですね。発端。
ぶ 山が好きだから、だからそういうことに目がいってしまうのが当たり前のことかも知れないですね。
す そう。そうですね。
ぶ さて、そこでですね。あの、外国の方に行かれて。
す えぇ。
ぶ 「清掃トレッキング」というものに参加されたそうなんですね。
す えぇ。
ぶ これは、いつの話なんですか。
す えーと、去年の11月ですね。
ぶ えっ。
す 11月の中旬に2週間ほどかけて行ってきました。
ぶ その外国とは、どちらの方ですか。
す ネパール。
ぶ ネパール。
す え。
ぶ ネパールといいますとね、いったいどんなお国なんでしょう。
す えーー、ネパールっていうのは、そうですね、場所からいうとインドと中国の間ーですね。でー、ま、みなさんよくわかるのは、エベレストっていう山がある国、ですから。
ぶ 8848m。
す そうです。
ぶ 勉強しましたょ。ホホホッ。そうですか。そちらの方に行かれたんですね。
す そうですね。
ぶ では、あのー、清掃トレッキングというのは、いったいどういう形で、あの、始まって、どういうところからお話がきたものなんですか。
す あのー、これはですね。えー、エベレストに最初に登った方で、イギリスに今いらっしゃると思うんですけど、ヒラリーさんという方が、あのー、おいでになるんですね。
ぶ えぇ。
す この方だとか、あと、世界の有名なね、あのー、登山家、メスナーさんなんていう人は、あのー、8000m峰全部登ったなんていう、今も元気で活躍されている方、いますけど、こういう方とか、日本で、女性で、初めてそのエベレストに登った田部井淳子さんとか、こういう方が呼びかけ人になって、ヒマラヤーーにですね、やっぱり、ごみがいっぱいあると。でー、それを、少し何とかしないと、んー、いかんぞ、という、その、話があったんですね。
ぶ えぇ。
す で、それで、HAT−Jという、ヒマラヤアドベンチャートラスティっていう組織ができて、で、これはおととしです。
ぶ はい。
す で、えー、それの日本の支部みたいなものが、あの、できたんです。
ぶ えぇ。
す そこへ私も入りましてですね。でー、いろいろ情報をもらっていたら、あー、田部井さんを、おー、リーダーにして、えー、ネパールへ行こうという話になったんです。
ぶ なるほど。
す で、えぇー、休みが問題でしたけども。
ぶ そうですよね。杉本さんは、会社員ということですよね。2週間のお休みを取るというのは。
す えぇ、やっぱり、言い出す時にね。ちょっと、心配でしたけどもね。でも、思い切って会社の方に話したら「いいでしょう」ということで。
ぶ 理解もいただいて。
す えー。それでまぁ、行ってきたわけですけれども。
ぶ そうですか。それではそうですね。あの、実際に清掃トレッキングに参加された、そのエピソードをですね、ここでCMを少しはさみましてまたうかがいたいと思います。
ぶ 「ぶっちーのあなたが1番」後半に入りました。え、今日は、えー、山に登って清掃をいたしましたという、まぁ、清掃トレッキングの達人を今日はお招きしているわけなんですけれどもね。上越市東本町にお住まいの杉本敏宏さんでございます。さて、杉本さん、その、えー、ネパールの方に清掃トレッキングに参加されて、まず驚いたことって何ですか。
す んーーーん。そうですね。あの、日本と違って雨が降らないんですね。この時期。
ぶ 雨が降らない。11月ぐらいでしたっけ。
す 11月ですね。ちょうど、その、「乾期」と言われていて、雨が降らないんです。
ぶ はい。
す 2週間いましたけれども、帰る前の日に、午前中だけ、少し雨が降っただけ。
ぶ へぇー、じゃ、あのネパールというのは乾期があるっていうことは、雨期もあるんですか。
す えぇ。雨期は、5月の中旬から9月の終わりぐらいまでですね。
ぶ へぇー、雨期といっても、あの、私たちにしては、このピンとこないんですけど。どんなもんなんでしょう。こちらの梅雨の時期に比べると。
す あの、日本みたいにじめじめした降りかたじゃなくて。
ぶ えぇ。
す なんか、ザーッと降るような、そういう降りかたみたいな。らしいです。
ぶ あぁー。
す これは、私もその時期にいたことがないんで
ぶ そうですもんね。
す だから、わからないんですけど。聞いた話ですとね、そんな話ですね。
ぶ あぁー、そうですか。そのほか何かございますか。
す んーーん、あのー、ネパールという国は、おもしろい国なんですよね。あのー、まぁ、登山だとか、こういうトレッキングだとかでもって行きますと、あのー、街からはずれて、日本でいえば田舎へ行くわけですね。
ぶ えぇ。
す で、田舎に行きますとね、未だに電気がない。
ぶ はぁー、電気がない。
す はい。電気がないですし、それから、道路はいっさい舗装されてない。
ぶ そうなんですか。
す ええ。
ぶ それじゃ、あの、日本でいう、ええ、どれぐらいの時代でしょうね。
す うーーん、まあ、そうですね。明治の始めか、江戸時代の終わりか、もうちょっとこっち来て、大正くらいですかね。そんな感じの国ですね。
ぶ そうなんですか。じゃ、ま、ほんとに自然を相手にして、自然の中に自分達の生活が。ちょうどバランスとれているというふうなんでしょうかね。
す もう、自然の中にとけ込んでいるっていう感じですね。生活がね。
ぶ とけ込んでいる。
す そういう、何にもないところですしね。それから、あの国は、あのー、鉄道がないんです。
ぶ 鉄道がない。
す はい。えぇ、道路しかないんですよね。道路と、それから遠くへ行く時には、車で行くか、あとは飛行機しかない。
ぶ 車か飛行機。
す えぇ。
ぶ といっても、相当の標高のところですよね。ネパールというと。
す そうですね。で、これは車だとか飛行機を使えるのは、街に住んでいる人だけで、奥の方に住んでいる田舎の人は、あの、歩くしかないんです。
ぶ 歩く。
す え、自分の二本足がもうすべて。
ぶ じゃ、たとえばですね。ネパールに学校ありますよね。
す ええ。
ぶ 学校に通うまで、どれぐらいの距離を子供たちって。それが当たり前になっているんでしょうかね。
す そうですね。今回行ったナムチェっていうところは、標高が3400mあるんですね。
ぶ ええ。
す そこにまぁ、街があるんですけども。その少し上にまた、クムジュンという部落があって。
ぶ 集落があって。はい。
す これが3800mあるんです。
ぶ はい。
す 富士山と同じ高さですね。
ぶ はははっ、えぇ、そこにじゃ、人が住んでらっしゃるわけですよね。はい。
す えええ、住んでいるんです。そこから子供がこのナムチェの学校まで来るわけですけども。えぇぇぇ、日本人が歩くと1時間半くらいかかりますかね。
ぶ はぁーーー。
す で、もうちっとかかるかなぁ。標高差が400mありますからね。
ぶ 歩くといっても、
す 登山するのと同じくらい
ぶ 学校のあるナムチェは、電気が通っているんですか。
す 電気ないです。
ぶ こちらもない。
す ナムチェもないです。
ぶ というと、あの、朝早かったり、夜遅い、真っ暗なところでは、けっこう危険じゃないですか。
す そうですね。あのー、だから暗くなる前に子供みんな帰りますし、
ぶ はははっ。
す 学校っていっても、建物がないんですよね。校舎がね。
ぶ 青空学校ですか。
す 青空学校。ほんのちっさなほったて小屋みたいな建物があるだけで、そこで先生が1人ぐらいで授業やる。そんなような生活をしているところなんで。
ぶ ほんとにあのー、自然と正面に向き合っているようなね、あのー、街だなって思いますね、ネパールは。さて、そこでですね、清掃についてなんですけれども、実際、その、2週間参加されましたよね。実際にどんなごみがすごく目だって、どれぐらい取れたんですか。
す んーーん、ごみはですね。清掃するのに、行きに集めますとね、えーー、全部持って歩かなきゃいけないですから
ぶ そうですね。行きに集めると、そうですね。ずっと、お供ですね。
す それはやめましてね。行く時は回りの景色を眺めながら行くということにして、帰りに集めてきたんです。
ぶ はい。
す 帰りに集めましてね。全部で250キロ。
ぶ 250キロ。
す ええ。ほどになったんですよね。それは、全部きれいにしたかっていうとそうじゃなくて、ほんの一部ですね。
ぶ ほんの一部で。
す ほんの一部でそれくらいです。
ぶ なにか、この、ビニール袋か何かに入れて、
す ええ、そうです。買い物袋。あの、持って行きまして、こちらからね。
ぶ 買い物袋。
す それから、あのー、ごみを出すときに使う、あの大きなビニール袋、
ぶ ええ、ええ。
す あれをもってったんです。
ぶ そうですか。
す てさげ袋に入れて、多くなるとその大きな袋に
ぶ 移し換えて
す そういうんです。
ぶ はぁーー、そうですか。あの、観光地であるから、こういう問題があるのかもしれないんですけど、こちら上越の方の山でもそうですもんね。
す そうですね。
ぶ はーー、あのー、やっぱりですね。山に登るルールっていうのがあると思うんですよ。どんなところだと思いますか。
す 今回もねー、行って感じたんだけれども、やっぱり、一番はそのー、あちこちに時々標語がありますよね。「来た時よりも美しく」っていう。
ぶ はい、はい。
す あれ、あの精神だと思うんですよ。
ぶ ふーーぅん。
す だから、まぁ、いろいろね。おにぎりとか、ご飯とか持ってくわけだけれども、あのー、そこでその、包んでったものを捨てないで、自分でもってったものは、ちゃんと全部持って帰ると。
ぶ はぁー、そうですね。自分達の持ち込んだものは、全部持ち帰る。
す 持ち帰る。
ぶ それが、ごみを出さないことにつながるんですものね。
す そう。日本の山でもそうだし、あのー、ほかの国へいってもおんなじだろうと思うんです。
ぶ あぁー。
す それは、山だけじゃぁないかなぁっという気もしますけどね。
ぶ はぁー。そうですね。あのよく「自然を生かすのも殺すのも人間次第」というふうに言われていますから、もう一度、私たちも考え直さなくてはいけないなっていう時期にきているのかもしれないですね。
す そうですね。はい。
ぶ さ、今後ですね。また、春が、こぅ、近づきますと、山男ですからね、うずきだすと思うんですが。ええ、次回といいますかね。近々、どの山を、めざしてます。今のところは。
す めざしてるということではないんですけれどもね。あの、4月の末から5月に連休がありますから、とりあえずは、すぐ近くの火打山へ、これまぁ、行こうと思っているんです。
ぶ 火打山。なにか、火打山というのは、あのー、私たち「初心者が登るのにはちょうどふさわしい山じゃないか」って、先ほどね、おっしゃってくださったんですけれども。
す はいはい。そうですね。あの、雪のある時期はね、やっぱり、初めての人は無理ですけれども、7月の中旬から9月の半ばくらいまででしたらね、やっぱりいい山ですね。
ぶ はぁー、そうですか。では、この火打山に、その4月の終わりから5月の頭ですか。
す そうですね。
ぶ 連休に。とりあえず登られて、そしてまた今年一年が始まるという、感じなんでしょうかねぇ。
す えぇぇ、そうです。ま、すでに、正月にも行ってきましたけれどもね。
ぶ おっ、正月に。どちらに。
す 南アルプスの方へ。行ってきましたけれど。
ぶ あぁー、そうなんですか。へぇーー。まっ、あのー、杉本さんにとってですね、山っていったいなんなんでしょうね。
す うーーん、これが一番難しいですけれどね。そうですねぇ。山をはずしてしまうと、どっかに空洞ができてしまうような、そんな感じですね。生活の一部になっているっていうか。
ぶ そうですか。うーーん。そんな、山を愛されている杉本敏宏さんなんですが、今日は私ね、ほんのわずかしかお話聞けなかったんですけれども、どうもありがとうございました。「ぶっちーのあなたが1番」もう時間がきてしまいました。えー、今日のあなたが1番さんはですね、えー、山を愛しながら、自然保護に力を注いでくださっています上越は東本町にお住まいの杉本敏宏さんをお招きしました。ありがとうございました。
す どうもありがとうございました。
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