巻機山

1999年10月6日〜7日

遊歩会

6  日 7  日
高田 7:30   泉屋 3:10 七合目 11:50〜12:00
十字峡 10:30〜10:50 桜坂 3:55〜 4:00 六合目 12:35
栃の木橋 11:30〜12:30 五合目 6:35〜 7:00 五合目 13:00
十字峡 13:10〜13:30 ニセ巻機 9:00 桜坂 14:25〜14:35
泉屋 14:15 巻機山 9:35〜10:00 泉屋 15:15〜16:00
避難小屋 10:15〜11:00 高田 18:05

はじめに

 上越市の中高年ハイキングサークル=遊歩会は、年3回の定例会を持っている。今年度最後の定例登山が、巻機山だ。
 当初の計画では、1日目は清水部落の泉谷に泊まるだけだったのだが、「もったいない」という声があり、五十沢渓谷を散策することになった。 総勢41名の内訳は、女性27名男性14名で、毎度のことだが圧倒的に女性優位。

6日

 貸切バスが、市内を巡回して参加者を拾い集めて行く。高速道路は使わずに、国道292号を東進し、十日町市から六日町に抜ける。五十沢は、巻機山と八海山の間を流れる渓谷である。ここをロックフィールダムで堰きとめ、しゃくなげ湖ができた。ダム湖の最上流部が十字峡。ここまでバスを乗り入れる。川沿いにつけられた車道は、「落石の危険がある」ということで入口に鎖が張られ、通行止めになっている。渓谷の水は澄み切っていて2〜3mほどの深さの瀞も底まで見える。左岸から右岸に渡る橋が栃の木橋。栃の木沢が合流する。少し早いが、ここで川原などに下りたりして思い思いに昼食。秋の陽射しが心地よい。早速、ヤマブドウを見つけて持ってきてくれる。小さな実に大きな種。食べるところはほとんど無くて、酸っぱい。
 わいわいがやがやと登山センターの駐車場に停まっているバスのところまで戻る。20〜30pもの長さのフジの実がいくつもぶら下がっている。固いサヤの実だ。
 ぐるっと回って、清水部落に入る。10年振りか。民宿がすっかり新しく変わってしまっている。泉屋も例外ではなく、以前の面影はない。男性は大広間、女性陣は3〜5人づつそれぞれの部屋へ。
 まだまだ明るいので、嶋田会長夫妻と曽根事務局長との4人で、桜坂まで状況を見に行く。車道を登る。部落のはずれの「巻機山近道」の標識に導かれて、杉林に入る。そして、雑木林に変わり、しばらくしてもとの車道に出る。左手から広い車道が合流してくる。有料駐車場の無人の料金所があり、工事用道路を右に分け、橋を渡ると桜坂の駐車場だ。上り口などを確認して戻る。
 宿の主人が出してくれた「八海山」と山菜ずくしの夕食に全員舌鼓を打つ。

7日

 早朝3時発。外に出たときに降っていなかったが、出発間際から、天気予報通り雨になった。合羽を着ての登山は初めてというメンバーが多い。
 朝が早いこともあって、ゆっくりと行くことにする。桜坂までは、昨日偵察しておいたのが役に立った。暗闇をライトの光を頼りに登る。何も見えないのがいいのかも知れない。雨雲で光がさえぎられているのだろうか、5合目あたりでようやく白みかけてくる。朝食にする。宿で作ってもらった弁当は、大きな握り飯が2つと、漬け物に塩鮭、それにトマトまでついた豪華版。
 真っ白な霧の中に、樹木の灰色の影がなんとも言えない。その霧がわずかな風に揺れて流れる。前線の南にいるせいか、蒸し暑い。こんな時は傘が最高だ。
 7合目、樹林帯を抜け出て、視界が開ける。西の空に少し明るさが見える。その下のヌクビ沢から白い雲が這い上がっている。10年ほど前、何かの催しで、下の娘が五歳の時に家族でこの山に登ったが、7合目で引き返したことを思い出す。あの時は、他の参加者に多大な迷惑をかけてしまった。考えてみると、この井戸尾根を登ったのは、その時と今回の2回しかない。それ以外はヌクビや米子(コメゴ)沢を登って、下山に使っていた。
 いやらしい階段が延々と続く。山が崩れるのを防ぐためにやったことだろうが、こんなことで変化する自然を押しとめようというのだろうか。コンクリートで固めた堰堤みたいなのがあるが、貯まったであろう水が他の所を崩して流れ出た跡があって何の役にも立っていない。山は浸食されるのが運命だから、ムダな抵抗のような気がする。
 東の緩斜面はすばらしい草紅葉が広がっている。奥の黒い山肌とその前を流れる雲のコントラストが、晴れた日とは違った印象をかもし出している。
 ニセ巻機。本名=前巻機。宿の主人は、「麓から見ると巻機山はこの山に隠されて見えない。巻機ではないのに巻機のように見えるので。」といっていた。ニセ巻機とは、可愛そうな名前だ。せめて本名の前巻機とよぶべきだろう。二本の道がついているが、すぐに合流する。
 下ったところに避難小屋がある。入ってみたがだれもいなかった。途中ですれ違った3人の女性は、昨夜ここで泊まったといっていた。
 風になびく草紅葉の中を頂上へ向かう。9時半着。相変わらず霧雨のような雨が降っている。風があるため、メガネがくもる。記念写真を撮って下りることにする。一人旅の女性が上がってきた。関西方面から来たという。今日会った登山者は先の三人とこの人だけ。避難小屋に入って、下りのための腹ごしらえ。裏手にあるトイレがこの山では貴重だ。

雨の巻機山  結局、晴れ間は見えず、1日中しとしとと降っていた。登りには闇の中で見えなかったが、センボンヤリがあったり、クルマバハグマなども。野生のムラサキシキブは園芸品種とは少し違っている。
 14時半、桜坂に帰着。桜坂からは、アスファルトの道だが、両側の雑木林のあちこちに、アケビがぶら下がっている。大きいのや小さいもの。紫に熟したものや淡黄色のもの、それに鳥に食われたのか空っぽのものなど。つるを引き寄せて夢中で取っている姿は、中高年などではなく、子どもそのものだ。「子どもの頃を思い出した」といっているから、あながち間違ってはいない。旧道に入ると、親指の頭ほどの山グリが転がっている。
 帰りのバスで参加者曰く、「この程度の雨なら、楽しいし、山の違った一面が見れたような気がする。」寒冷前線が通過しても19℃もあり、無風という好条件のもとで許された登山だった。


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