火打山

2000年5月6日


自宅 6:55   高谷池ヒュッテ 11:15〜12:45
笹ヶ峰キャンプ場 7:50〜8:05 黒沢川 13:50〜14:00
黒沢川 9:05 笹ヶ峰キャンプ場 14:30〜14:50
十二曲上 9:45 自宅 16:00

 市議選も一段落して、漸く日程の調整がついたので、火打山に行ってくることにした。昨年の10月以来の山行なので、無理はせず、高谷池ヒュッテを目標にし、調子を見てその上をめざすという計画にした。

 国道18号から杉の沢を通り、笹ヶ峰キャンプ場へ。五八木に除雪車がとおせんぼするように停まっていたが、横から通りぬけられた。例年よりも残雪は多い。牧場管理事務所辺りからは、すれ違いができないほどの除雪幅となる。山手側は小枝が切り取られている。
 登山道入口の駐車場は、満杯。キャンプ場の駐車場に行くと、ここも若干のスペースがあるだけ。雪消の水が流れていない乾いたアスファルトに腰をおろし、準備を整える。残雪は目の高さほど。その上で一家族が遊んでいた。

 木々の根元の雪が丸く融けている。そんな樹間をぬって、緩やかな登りが続く。降りてきたスキーヤーが、「笹ヶ峰はこちらですか。」と聞いてくる。「地図も見ないで来たのか。」と思うが、「そうですよ。」と答える。
 夏道とはずれているようだ。見覚えのあるブナの大木があらわれると、黒沢川。トラバース気味に川床に降りる。遠く、沢沿いに下りてくる人影がある。スノーブリッヂを渡って対岸で休む。スキーを担いで降りてきた人が渡る場所を見つけられずにいたが、小生の姿を見て、察知したようだ。雪の間から顔を出して川の水を汲む。
 十二曲に続くトラバースは、深い残雪につけられていた。十二曲は一直線にオオシラビソの林まで登って行く。斜面が急なためにスキーヤーは苦労していた。滑れるか心配しているグループもあった。
 オオシラビソの林を抜けると左手に雪庇がそびえたった広い斜面になる。二つ沢には一本のシュプールがあるだけ。下る人はいないようだ。ペースダウンしたら、先ほど追い抜いてきたスキーヤーに追い抜かれてしまった。陽射しが強く、疲労が出てくる。
 広い尾根状の雪原の向こうの黒沢岳から降りてくる二人のスキーヤーがある。左手に見える火打山と焼山はかすんでいるが、陽気のせいか黄砂のためか。ヒュッテの三角屋根が雪原に突き出ている。
 黒沢岳の山腹を巻くトラバースは、凍っているといやらしいところだが、今日の雪はくさっているので気持ちよく歩ける。それでもアイゼンの跡がある。ヒュッテの手前の登りは緩い登りだが、いやな登りだ。

 ヒュッテ横のトイレに降りる穴との間を通って正面に出ると、何人ものスキーヤーがたむろしていた。ここは登山者の世界ではなく、スキーヤーの世界なのだ。ザックをおろして、ヒュッテの中に入る。長岡労山の見なれた顔が昼食を摂っていた。「築田さんは?」と聞くと、「外に出て行ったようです」とヒュッテの居候が言う。
 外に戻って見ても見当たらない。池塘のど真ん中で雪掘りしているスコップが見えるので、「あれだな」と思い、行ってみる。アタリ。
 「やぁこんにちは。」
 「久しぶり。選挙があったんだって。」
 「やっと当選さ。」
 「当選すりャいいじゃない」
 「まぁそうだけど。何やってんの。」
 「井戸掘ったんだけど、場所悪くて鉄分多いんだ。新しいの掘ろうと思って。」
 「どの位あるの。2〜3m?」
 「4〜5mあるね。そっち、のぞいて見たら。」
 「あっ、ほんとだ。いやー今年はすごいね。」
 「最近一番だね。」「中の雪、きれいだね。」
 「いつもよりやらかいんだよね。あったかくなると、すぐ消えるかもしんないね。どうすんの。」
 「足慣らしのつもりで来たんで、少し休んでから帰るつもり。」
 「ゆっくりしてけばいいのに。」
 ヒュッテ前にもどって昼食。缶ビールを空ける。陽射しはますます強いが、冷たい風が吹いている。長岡の連中が、「これから頂上へ行く。」というので、あとについていってみることにする。高谷池の対岸の登りで酔いが回り大苦戦。13時には帰路につこうと思っていたので、天狗の庭まで行って戻ることにする。それにしてもここの景色は、格別だ。
 すっぽり隠れるほどに掘り下げた中から、四角い雪の塊が飛び出してくる。上から声を掛ける。
 「今日はもう帰るわ」
 「どこまで行ってきたんだね。」
 「天狗の庭まで。夏にまた来るわ。」
 「待ってるよ。気を付けて。」
 「ありがとう。」

 黒沢岳のトラバースは、うんざりするほどの登りだ。緩やかだけれど長い。それを登りきればあとは下りのみ。雲が空を覆い始める。十二曲の下りは、グリセードには雪が軟らかく、シリセードが最適だが、その準備をしてこなかったのが残念だ。黒沢川を渡って休んでいると、4人のスキーヤーが降りてきた。渡る場所がわからない様子。厚いスノーブリッジにオドオドしている。最近はこういう連中が多い。
 笹ヶ峰に着く頃には、すっかり疲れてしまった。顔を洗ったら気分爽快。帰路に着く。


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