白馬岳
しろうまだけ 2933m

2000年8月14日

花の写真はこちらです。      山の写真はこちらです。

8月13日   8月14日
高田 18:00   蓮華温泉 5:25   三国境 13:23
蓮華温泉  20:10   天狗の庭 6:57-7:15   小蓮華岳  14:05-14:20
      白馬大池 8:15-8:36   白馬大池 15:30-15:45
      2612m峰  9:22-9:30   天狗の庭 16:22-16:30
      小蓮華岳 10:43-10:45   蓮華温泉 17:35-18:30
      三国境 11:17-11:45   高田 21:35
      白馬岳 12:30-12:50      

 今月2回目の登山。白馬岳に行ってきました。1ヶ月に2度も行くなんて、最近では珍しいことです。「気心知れた」蓮華温泉から白馬岳への日帰り往復です。さすがに疲れました。寄る年波には勝てないってとこですかね。時間もかかっちゃいましたね。

 国道8号で糸魚川。途中、名立のあたりから夕陽が海に徐々に沈んで行った。その夕焼けが見事。148号平岩から蓮華温泉に向かう。台風9号が来ているって言うのに、こうこうとした月明かりの晩だ。昨年、真っ白な霧の中をおっかなびっくり走ったのとは大違いだ。
 蓮華温泉の駐車場は、2台分が空いていただけ。車中で月見酒と洒落る。天頂には、夏の大三角形が輝き、織り姫と牽牛が逢瀬を楽しんでいる。月明かりに雪倉岳と朝日岳が鮮明に浮かび上がっていた。
 水を飲みに小屋の横の水飲み場に行く。人声がして明かりが下りてくる。上の露天風呂に行ってきたという。一人下の露天風呂の方に行く人がいるので、一緒に行く。先客あり。爺ヶ岳から縦走して来たという秋田の大学生グループと引率?の先生だ。湯につかり星を見ながら歓談。大量の飲み物を持参していて、ご相伴に預かる。朝日岳から五輪尾根を下ってきたという彼らの仲間も加わる。

 朝、一時青空が広がり、雪倉岳が浮かび上がった。残雪が多いようだ。すぐに頂上が雲に隠れる。軽い朝食をすませて出発。
 下草が刈り払われている。右に折れ、左に曲がって、徐々に高度を上げていく。薬師の湯を望むと、もう人がいる。朝湯か。そう言えば、ここの陽あたりにあったミズギボウシがなくなっている。樹林帯に入ると、ソバナが青紫色の花を垂れている。薄暗い中に鮮やかな黄色のマルバダケブキが一輪。3人も追い抜かれてしまった。
 シモツケソウがあずき色の蕾をピンクに開き始めている。クロトウヒレンやアザミ、そしてオオバミゾホオズキなどの原。カラマツの老松が見え、左に折れると、そこは天狗の庭だ。独特の景観。タカネバラは、もう実がなっていた。ヒナコゴメグサ、タカネナデシコ、ヒメシャジン、オンタデなど。ムシトリスミレは花期が終わったのだろうか。

 石がゴロゴロするところを通り過ぎ、尾根を回り込むようにして登って行くと、突然、視界が開けて、白馬大池の草原にに出る。まず迎えてくれるのがチングルマ。イワイチョウの葉を突き抜けて白い花があり、赤紫色のハクサンコザクラがそこここに咲いている。小蓮華方面との丁字路あたりには、カメラを構えたたくさんの人がいた。
 白馬大池のテントサイトは子連れが多い。かつてのわが家族を思い出す。小屋の近くには、ヒオウギアヤメが。白馬大池は、「しろうまおおいけ」と習ったものだが、今は「はくばおおいけ」の方が通っている。

 池の水は多く、西側の残雪も何時になくたくさん残っている。稜線に出ると、石組の中にコマクサ。そして、ハイマツの陰にリンネソウ。植物分類学者リンネの名がついた可憐な花だ。一時減少していたが、最近増えてきているようだ。アサギマダラが1頭、風に乗って舞い上がって行った。

 緩やかな登りが続き、小ピークを一つ巻くと2612m峰。石原に、イワギキョウ、ヒナコゴメグサなど、しばらく、高山植物の花盛りだ。ガスの中に時々浮かび上がる小蓮華岳への稜線。長い稜線をゆっくりと登りきると2769mの小蓮華岳だ。数人の先客あり。

 しばらく石畳のような快適な稜線歩きが続く。そして地図上で2719mの記載があるところから少し下って、鉢ヶ岳へのトラバースを分けるとほんの少しの登りで三国境に出る。三国境の周辺には、雪がたくさん残っている。三国境はなかなか読めないらしく、「さんごくきょう」「みくにざかい」などと地図を読んでいたが、「さんごくざかい」が正しいらしい。越中、越後、信州の三国がここで接する。昔、「ここで一回りしながら小便すれば、三つの県に一度に小便できる。」などと言われたものだ。本当は、鉢ヶ岳が見え、その向こうに雪倉岳が鎮座しているはずだが、今日は白いガスだけ。大きなザックを担いだ二人ずれが鉢の方から上ってきた。「朝日から6時間」といっていた。蓮華に下るという。

 ここから「白馬岳頂上まで1時間」といわれている。ウルップソウはもう花が終わっていた。チョウノスケソウも、実を風になびかせていた。チシマギキョウやタカネシオガマがが鮮やかだ。

 この時期珍しく頂上には5〜6組がいただけだった。今の時期にしては、少ない。お互いに写真の撮り合いッこをする。360度真っ白。帰路、雨があたり出す。たいした降りにはならないだろうとタカをくくって、先を急ぐ。

 大池の人影は、ずっと少なくなっていた。天狗原から登ってくる人が、小屋の間から時折出てくる。
 大池から、はじめは登ってくる人に出会ったが、天狗の庭との中間点あたりから、皆無。時間が時間だから、当然といえば当然。

 天狗の庭からの長かったこと。疲れが気持ちを萎えさせているのだろうか。そんな時に、下の方に「熊に注意」の立て看板があったことを思いだす。ここまではこないだろうとは思うが、気持ちのいいものではない。

 一昨年よりも2時間ほど余計にかかって、蓮華温泉着。歳のせいか。いつもならごった返している小屋の前の広場は、もうこの時間、人影もまばら。それでも駐車場は、満杯の状態だった。着替えを持って、入浴のお願いをする。カウンターの青年が、「本当は3時までです」といいながら、「どうぞ」という。風呂へは食堂を通っていくが、ビールなどをあけてにぎわっていた。カラカラの風呂に入れてもらい、汗を流す。入浴後、事務室の社長と最近の登山事情などを話す。「泊まり客が少なくなりましたね」と言っていた。

 遅くなったので、急いで帰路に着く。下るにしたがって深い霧が、雨に変わる。時折、バケツをひっくり返したような降り方をする。そんな中、白池を過ぎ、もうすぐ木地屋かというとき、車が止まっていて、雨の中に青年が立っていた。「ファンが回らずオーバーヒートしちゃうんです。修理屋に連絡してもらえませんか。」木地屋まで走り、集落入り口の小椋鉄夫さんというお宅からJAFに電話してもらう。そして、そのことを伝えに、青年のところまで戻る。

 家に着いたら9時半だった。
 1日、12時間も歩くとさすがに疲れる。


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