火打山
高田 | 5:45 | 火打山 | 12:20〜12:45 | |
笹ヶ峰 | 6:45〜7:15 | 高谷池 | 13:50〜14:00 | |
黒沢川 | 7:55〜8:05 | 富士見 | 14:30〜14:40 | |
十二曲上 | 8:35〜8:40 | 十二曲上 | 15:15 | |
富士見 | 9:27〜9:35 | 黒沢川 | 15:30〜15:45 | |
高谷池 | 10:15〜10:35 | 笹ヶ峰 | 16:20〜16:50 | |
雷鳥平 | 11:40 | 高田 | 18:30 |
コンビニで食料を買い入れ、国道18号を南下して妙高高原町へ。バイパスができて少し変わったが、杉野沢への道に入る。そして、約10q山道を走って笹ヶ峰につく。もう駐車場は満杯で、戻って旧営林署跡に車を置く。整理して入れればもう少し入ると思うが。準備の最中にも車が行き交う。相当の人数が入山しているのだろう。朝食を摂る。
登山道に入り、少し進むと、新しい木道が敷かれている。昨年の春には無かったから、その後に設置されたものだろう。雨後の泥で滑る道を歩かないですむのはいいが、登山の情緒が失われてしまう。黒沢川にも立派な橋が架かっていた。倒木の橋は、その陰で「仕事は終わった」と寂しげだった。1995年(平成7年)7月11日の豪雨から、もう6年になる。下流にも甚大な被害があったが、局地的な豪雨は、黒沢川の流れを大きく変えてしまった。橋から上流を見ると、少し上の左手に大きな岩があり、その上にコンクリートの台座の跡が見える。今は右岸になっているが、確か中央の橋げたの岩だったはずだ。その上に見える滝のような沢もこの豪雨でできたものだ。案の定、橋の左岸側の少し上の台地に流木の下敷きになった案内の看板の残骸が見えた。この看板から川までは数mあったと思う。かつての登山道(橋に続く)には、トラロープが張られていた。冷たい水を水筒に詰める。
花の咲き方が中途半端な感じがする。夏でもなく、秋でもないような。涼しい時間帯なので、十二曲は調子よく登れた。稜線には、大きなザックを抱えた夫婦。涼しい風が心地よい場所だ。
若干の岩場を登り、オオシラビソの樹林帯に入る。いたるところにあるはずのギンリョウソウが、わずかしか見えない。二つ沢の水は豊富だった。登山道が泥道になっているのは、雨が降ったのだろうか。
富士見のすぐ下で、新道を登っていくと、旧道の大変なところを下ってくる人がいる。思案している様子なので、「道はこっちですよ」と声を掛けるが、聞こえていないようだった。
富士見には、10人近くの人。
クロウスゴの実が紺色に熟しはじめている。濃紫色のコメツガのマツポックリが、枝先に誇らしげに立っている。黒沢岳をトラバースするダケカンバの樹林帯は、好きな場所だ。焼山への展望台からは、雲しか見えない。ヒュッテが見える場所からも雲だけ。もちろん火打山の頂上などは望めるべくもない。「さあもうじきヒュッテ」という鞍部のお花畑。コバイケイソウの花はなく茎だけ。小屋の手前、リンドウがあるはずなのに、なし。小屋の前の笹薮のクルマユリも見えない。何かまったく違った時期に入り込んだような感覚に襲われた。
ヒュッテの東側の屋根が新しく継ぎ足されていた。管理人室に顔を出す。管理人の築田氏が、一生懸命ノートパソコンに向かっていた。
「こんにちは。」
「ヤア、久しぶり。」
「去年のゴールデンウィーク以来だ。」
「井戸掘りしてた時だよね。」
「どこの山に行こうかなと考えたら、ここになった。」
「調べなくてもわかるもんね。」
「そうそう、かって知ったるだからね。」
「今日、帰るの。」
「そう、日帰り。なかなか山にこれないんで、ホームページ見てるよ。」
「ずっと、曇りの日ばっかで、いい写真撮れないんだ。」
「上空に寒気、流れ込んでるもんね。」
「いつもガスってて、雷鳴ったり、夕立降ったり。」
「休んだら、頂上、行ってくるわ。じゃーね。」
ベンチに腰を下ろし、パンを食べる。
ゆっくりと奥高谷へ。すでに雪はなく、それでも名残のハクサンコザクラのピンクの花が風にゆれていた。その一方でリンドウがつぼみを大きく膨らませ、「もう、秋だよ」と言わんばかり。
天狗の庭。池塘に映るはずの火打山は、すっぽりと雲に包まれてしまっている。モウセンゴケが少し増えたのかな。ウメバチソウが一つ二つと白い五弁花を開いている。ワタスゲの穂綿は、風に飛び散らんばかりだ。
ダケカンバのトンネルをくぐりぬけて稜線に出ると、風が吹き上げてくる。谷間の残雪は、例年になく少ない。降雪は多かったのに、この間の暑さで消えたのだろうか。ダケカンバの間に生えるチシマザクラの実=サクランボが黒紫色になっている。摘まんで食べてみると、もう瑞々しさはなく、苦味だけだ。熟したばかりのときは美味いのだが。矢代への道は、案内板が夏草に覆われるほどに荒れてしまった。樹林から出ると、一面のお花畑。秋の象徴とも言えるミョウコウトリカブトの紫が、群れになって咲いている。その合間をベニヒカゲが飛び回っていた。一時よりも個体数が増えた感じがする。やがてヒメシャジンの群落がある岩場。今年は紫が鮮やかだ。
乾いた雷鳥平はやり過ごし、馬の背の稜線へ。そして、最後の登り。体力不足は持続力の欠如として現れる。わずかに残ったシロウマタンポポの黄色い花のそばに、白く丸い綿毛が並んでいる。ウサギギクもここまでくると新鮮な花が見られた。3つ位花を開いているクルマユリは、ここでは普通だが、中には5つも花をつけ、その上にまだ2〜3のつぼみをつけたものもある。もう頂上へ出るというミヤマハンノキの中のアザミにアサギマダラが1頭、一心に蜜を吸っていた。
頂上の展望はゼロ。20人ほどいたか。のんびり昼寝を決め込んでいる人も。少し休んで、下ることにする。山から遠ざかっていると下りで膝を痛めることが多いので、慎重にゆっくりと下る。
ヒュッテに戻って、築田氏と再度歓談。増築した内部を見せてもらう。
「外から見たよりも広いね。」
「4m伸ばしたからね。炊事場を中に入れたんで、今度は雨に濡れないよ。」
「ああ、それで炊事小屋がなくなったわけか。」
「そうそう。」
「今年もう一度秋に来たいんだけど。」
「待ってるよ。」
「それじゃーね。」
ゆっくり下ったためか、大分かかって笹ヶ峰に着いた。登山口の小川で靴と顔などを洗う。冷たい水が気持ちいい。
池の峰のあたりで霧が濃くなったが、たいしたことはなかった。下界は相変わらずの猛暑だった。
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