妙高外輪山の前山に登ってきました
リフトやゴンドラを使って残雪の山に登る第3弾は、妙高山の外輪山である前山に決めていた。3月末に登ろうと計画していたのだが、天候が悪く、様子を見ていた。天気予報で4月1日が好天だったので、行って来た。
赤倉観光リゾートのスカイケーブルで上がり、さらにホテル第5リフトで上がって、そこから往復するという予定で出発した。
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まさに絶好の登山日和、雲一つない晴天になった。赤倉観光リゾートスキー場は、思った以上の人でにぎわっていた。子ともがたくさんいたのは、春休みだからだろうか。広い駐車場に停められた車のナンバープレートは、全国各地のもので、「長岡」ナンバーの方が肩身が狭い。
「一日券」ではなく「往復券」を求めたら、切符売り場の女性は、「ホーーッ」というような顔をしていた。この時期、「往復券」を買う人はないのだろう。
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スカイケーブルの上の駅で、「向こうのリフトは?」と聞くと「動いているのはこちらの2機だけです」との答え。3月31日で運行をやめてしまったらしい。「前山へはどう行けばよいですか」「第5のゲレンデを登ってください」ということで、人気のないゲレンデを登ることにした。
この時期、もう雪はかなり締まってきているので、そのまま行けるかなと思ったが、せっかく持って来たので、スノーシューを着けて登る。このゲレンデ、昨日まではたくさんの人が滑っていたようだ。ゲレンデだから傾斜はたいしたことないのだが、700mほどあり結構なアルバイトだった。
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第5リフトの上の駅周辺は、切り開いて造成したのだろう、崖のようになっているので、圧雪を少し進んで緩やかになったところから取り付いた。「南の尾根は雪崩れるから、北の尾根を登った方がいいよ」というアドバイスを思い出した。
すぐに真新しいスキーの跡に出会った。先行者があるということは気分的に楽である。さらに登山靴の足跡も出てきた。こちらは2〜3日前のものだろうか。20cmほどの深い跡である。「苦労したんだろうな」と思う。
ブナ林がずっと続くが、やがてダケカンバに変わる。傾斜が少しづつきつくなり、雪質も変わってくる。数cmの軟らかい雪の下がけっこう硬いのだ。それでスノーシューをデポして、簡易アイゼンを着ける。これは無くても良いと思ったのだが、一応「万一」のことを考えて、着けた。ウサギの足跡に混じってカモシカの新しい足跡が、右から左へと尾根を横切っていた。スキーの跡の上を通っているから、直前だったのだろうか。急登が終わると小さな雪庇がついた稜線になる。
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前山の頂上に出ると、妙高山は樹木の陰になってしまう。ちょっと残念だ。天狗堂までは大きなコブを二つ越えなければならない。頂上まで行くとなるとたいへだなと思う。先行のスキーヤーはどこへ行ったのだろうか。
北側の外輪山、神奈山・大倉山がいい。特に神奈山南面の岩と雪のコントラストがすばらしい。手前には燕温泉から上がった麻平の広大な斜面が、妙高本峰にせり上がっている。若い頃に登ったことを思い出す。
本峰の左手では、赤倉山を背景に、南地獄谷の源泉が「ゴーーーッ」という音とともに、盛んに噴煙を噴き上げている。
ふり返ると手前に斑尾山と野尻湖があり、斑尾のすぐ上に竜王スキー場のゲレンデが、さらにその奥に岩菅山が見える。左手の白いのは魚沼の山々か。 |
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慎重に下る。急斜面に入った所で、ダケカンバの脇にスノーボードを持った人が立っていた。「どちらから」「・・・」「赤倉からですか、観光ホテルの方からですか」「ホテルには泊まっていませんよ」「・・・」意思が通じない。少し行くと今度は女性が一人登ってきた。「あそこが頂上ですか」「あの向こうにまだありますよ」「エーーッそんなに」「スノボですか」「ええ、せっかくの斜面ですから」「年寄りにはそんな勇気は無いですね」
スノーシューを回収してザックに縛り付け、軽快に下る。ちょっと陽が傾いただけなのに、表面の雪が凍り始めている。ざら目の雪がザザーッザザーッとその上を滑っていく。
第5リフトに沿って左手の樹林を下る。この辺りまで来ると雪はまだ凍ってはいない。スキーヤーもボーダーもいないゲレンデに、リフトの支柱に取り付けられたスピーカーからの忙しい音楽だけが鳴り響いていた。
スカイケーブルの駅まで来ると、急ににぎやかになる。落差が大きい。
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駐車場から見上げると、前山は妙高本峰に重なっている。ランドマーク妙高の湯船からは、右にずれて見えて、位置関係が良くわかる。汗を流しながら、余韻を楽しんだ。
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