2005年11月12日

にいがた自治体研究所

にいがた自治体学校での発言(要旨)

地域協議会について

 地域自治区、地域協議会の問題について、編入されてくる側ではなく、受け入れる側でどんな議論があり、取り組んできたかについて述べます。

 合併論議の中で私たちが考えたのは、「旧町村の支配体制を真摯に持ち込ませない」ということでした。この点で、党と行政の立場の一致があったと思います。新市の運営をしていく上で、旧体制は邪魔者だからです。こうした立場からいろんなことが考えられ、提案され、議論され、協定に盛り込まれました。

 地域自治区、地域協議会は、まさにそうしたものの一つでした。支所を置かない、区長を置かないというのもそうです。地域自治区には、事務所が置かれますが、上越市では総合事務所と呼んでいます。ここには所長を置くことになっています。吏員である所長を置いた場合には、特別職の区長を置けないことになっています。区長を置きますと、市長の任命制ですから、普通に考えますと、旧町村長とか、助役とか、元議長などにその役が回ってきます。これでは、旧体制が残ってしまうことになります。

 地域自治区には地域協議会を置くことになっています。この地域協議会の委員を公募・準公選にしました。その上、無報酬です。こうすれば、プライドの高い元首長らは、ここには手を挙げてこないだろうという読みです。元首長や助役、議長などの多くは、市議増員選挙の方に出馬したのです。

 「議会選出の合併協委員は、個人ではなく議会の代表なのだから、議会の総意を反映すべきだ。」「議会に無断で上越市は合併協に提案してはならない。」ということを強調したことから、旧上越市議会では、合併協の前に、そこで議論される議案を検討・討議するシステムができ上がりました。このシステムによって私たちは、合併協に提案される議案を事前に知ることができ、討議・議論することで提案前に改善させることもできました。当然のことですが、合併協のあとには、議会選出委員や行政側から、合併協で提案がどのように議論されたかが詳しく報告されました。

 上越市の企画部長は、総務省の人です。「日本一の合併を成し遂げる」ことが目的なのでしょうが、地政調や総務省の考え方、新しい制度の根幹を知るうえで、彼の存在は大きかったと思います。そうしたこともあって、上越市では、地政調の答申が出る前から、地位自治区や地域協議会の議論が行われてきました。私たちもまったく模索の状態でしたが、行政側から提供される資料や特別委員会での説明、論議によって少しづつ理解し、形づくられていったと思います。