1972年08月16日
前穂(4日目)
 
 
奥又白池 7:00 バス停 15:10-15:30
A沢上部 8:30-8:40 大正池 15:40-15:50
前穂高岳 9:00-10:00 松本 17:10-17:47
岳沢小屋 12:00-12:20 穂高 18:22
サマーテント 14:00-15:00    
 
 今日も二日酔いかと思ったら、そうではなかった。朝5:30起床。
 東の空が明るく、前穂東壁が暗闇にそびえていた。テントから出て、キジ山に登ったら、富士山がとても美しかった。
 今日の朝飯は、大変まずかった。ナメコとタラコの味噌汁の作りすぎと、東京のコメのまずかったこと。思わず口から飛び出したほど。半分捨ててしまった。テントを片付けて出発。
 最初の登りは胃の調子が悪く、へどが出るほど気分が悪かった。それでも無理して登った。
 A沢入口のガレ場はひどかった。それでも手足4本を使ってよじ登ると、A沢の雪渓。出口がすぐそこにみえるが、約1時間かかった。
 ポリタンに水を入れてこなかったので、残雪をつまみ食いしながら登る。太陽光線の暑さに、雪で顔を洗った時のなんとも言えない気持ち。足下に奥又白池が鏡のように光っている。
 A沢を登り切った所は、明神からの稜線だ。イワギキョウとミヤマシオガマが美しく咲き乱れていた。また、3つに分けて食べたレモンの美味かったこと。
 乗鞍、御岳の展望を楽しみ、はるか下に見える上高地を見ながら、頂上へ。頂上はここからもうすぐだ。途中、岳沢からの道と合流し、急に人混みになってきた。
 頂上はますます荒れて、ゴミだらけ。晴れ渡った空とは対照的。写真を撮りまくり、ゆっくり休む。学生時代の回想にふけることしばし。
 岳沢の下りは、嫌になる程急だ。すぐ下にテントと小屋が見えるが、そこまでなかなか着かない。そのうち、昨年痛めた左ひざが痛んできた。それでも我慢して歩く。急坂が終わると、お花畑。ホソバトリカブトの濃紫色が鮮やかだ。花の間をベニヒカゲとコヒオドシが飛び交う。
 岳沢雪渓は、今年は大きい。幾人かがはしゃいでいた。このすぐ下にある岳沢小屋で休憩。
 水、ポリタン1杯、20円也。今関氏がバヤリースオレンジを買ってきた。何と、1本180円也。暴利。
 昼飯を食う予定だったが、残パンを分け合って食べ、出発。ここからは樹林帯に入る。ツガとカンバの混じった林だ。小鳥も多い。すぐ近くまで来て鳴いている。オオルリの声だ。
 左ひざが痛くてどうしようもない。歩けなくなりそうだ。登りは何ともないのだが、下りになると無理がかかるのか。
 川のせせらぎが聞こえるようになるとすぐ、岳沢入り口だ。小川の水で、体を洗い、疲れをいやす。あとは平らな道。上高地は下界だ。
 今日は一日中晴れ渡っていた。幸運な日だった。いずれまた来る日まで、さようなら。
 サマーテントでは、今関氏が昨日拾った1000円也でビールを買い、2本だけ開け、他は現役に渡す。残りの食料を全部出し、帰る用意。
 
20 そば 100
タクシー 1000 風呂 40
松本〜穂高 80    
 
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