1974年02月24日
戸隠西岳P1尾根
(2日目)
 
天狗原テント場 6:25 撤収 14:10
雪壁下 7:45 楠川渡 15:00-15:10
岩陵上 9:15 上楠川 15:50
第1ナイフリッジ上 10:15-10:45 宝光社 16:15-16:27
雪壁下 12:00 長野 17:45-18:47
第3ピーク 12:50 高田 20:00
テント場 13:10    
 
 氷の霧が風に流れる。木々は樹氷で花が咲いたようだ。
 第3ピークまではワカンをつけて行ったが、ここで外し、コメツガの木の枝にぶら下げた。そこから三つ目のピークの登りが急だ。夏道は左に巻いているらしい。それをまっすぐに登った。第8ピークを過ぎると尾根は広くなり、木の数が少なくなる。
 ここから「熊の遊場」と言われる40度の雪壁だ。雪はちょうど良い具合に閉まっている。約40mの登り。その上はブッシュだ。バンド状のところを右にトラバース。さらに雪壁を登る。すると急に日が差し始め、ダイレクト尾根、本院岳が目の前に現れる。同時に高度感がます。
 約40m登ると、再びバンド状のところに出た。これをさらに上に抜けようとしたが、難しいので、左にトラバース。前方に赤旗が見える。ここまで行くとビバークの跡がある。
 雪庇を乗り越すとそこはクロアール。中ほどの松の木のところだった。ここからルンゼを登り、岩陵の上に抜けた。ダケカンバの木ノ下で休む。日が強くなり暑い。
 比較的傾斜の緩い雪壁が続く。しかしそれも次第に急になり、ジャンクションに着く頃には40度以上だ。ここから展望の良い雪稜が続く。P1の大雪庇が素晴らしい。
 第一ナイフリッジの手前のピークからコルへは、右の端から降るのだが、下が見えないのでザイルを付け、アップザイレンで降る。降りてみれば何のことはない。狭いが通れる。この登りが、第一ナイフリッジだ。ここはさほど大したことはない。問題は第二ナイフリッジだ。ナイフリッジに大きなキノコ雪がついている。一応ここで昼食ということにした。
 桑原さんと二人で、第二ナイフリッジを偵察。上は渡れないので、右下を巻く。中央部からもう一段上に上がる。ナイフリッジは越せるかもしれない。しかしその次の鎖のついた岩陵が問題だ。上部で雪庇が張り出しているのだ。時間があれば、切って登れないこともないが、今回はここまでで引き返すことにした。この先トレースがないところを見ると、他のパーティもここで戻っているようだ。昼食を終わって下山。天気はまだ良い。
 第一ナイフリッジは、ザイルを使う。ジャンクションまではノーザイル。すぐ下のダケカンバの幹にザイルをかけ、二本で40mいっぱいに出す。2ピッチでクロアール。登りで休んだところの木にザイルをかけたが、下の松の木まで届かない。途中で確保し、ザイルを下げたがまだ届かない。仕方なく、全員確保点まで降ろし、さらに桑原さんに松の木まで行ってもらう。松の木からクロワールを下るが、下までザイルが届かない。途中まで降りたがどうしようもないので、桑原さんに確保してもらい、バック。雪が少なく、ザラザラの雪なので、アイゼンもピッケルもよく効かない。岩陵沿いに下ると、雪面に大きな亀裂が入っている。ブッシュの中で確保。降りてきたものを一人一人木につかまらせる。下を見ると登ってきた時のトレースが見える。もう天気は曇ってきた。
 ブッシュを抜けると例の大絶壁だ。しかし登りよりコード高度感がない。小木の生えた絶壁を下ると、もう絶壁は終わりだ。第5ピークをアップザイレンで降り、第3ピークでワカンを回収し、シリセードを楽しみながら、天狗原のテントで戻った。下は多少雪が降ったらしい。紅茶を沸かし、残りのパンを食べ、テントを撤収。
 入山のゆっくりしたペースとは変わって。元気に下山。
 
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