蝶ヶ岳での朝は、快晴で迎えた。槍ヶ岳から穂高連峰、八ヶ岳まで360°の展望である。
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「少し暖かくなってから」ということで、ヒュッテからはゆっくりして出た。ヒュッテのすぐ後ろに頂上がある。若い集団が降りてきた。横尾にでも下るのかな。
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蝶ヶ岳の頂上は森林限界を少し越えたくらいなので、どのルートを通ってもわずか下っただけで樹林帯に入ってしまい、展望が利かなくなる。それで、頂上から少し下った所に日だまりの小さな窪地があったので、そこに腰をおろし、のんびりと展望を楽しむ。まだ早いのに、山々にガスがかかりだした。
樹林帯の下では、高山植物が花をつけていた。それが横尾からのルートとの大きな違いだろうか。ハクサンフウロやクルマユリはよく目立つ。コバイケイもあるが、火打山のそれと比べると小さい。
うしろから元気のよい声がして、数人の老男女が降りてきて追い抜いていった。遠ざかってもしばらくその声が聞こえていた。
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長塀山は、我々は「ながかべやま」と教わったが、出会った人たちは「ながへいやま」とか「ちょうへいやま」とかいっていた。その長塀山までは、多少の起伏があるが、比較的緩やかな下りである。そこを過ぎてしばらくすると、徳沢までは急な下りになる。妻の歩みが遅くなる。我々よりもかなり年輩の女性が一人で登って行った。かくありたいと思う。
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徳沢園の裏手に出る。ここまで来ると「下界」という雰囲気。人が多い。今日は、上高地に戻って帰宅する予定なのだが、そんなに急ぐ旅でもないので、ゆっくりと休む。
人の波の間を縫って行くと、向こうから猿の一団がやってきた。人が道を開けている。ボス猿が道のど真ん中を堂々と歩き、上の藪の中にも、下の河原からも、20頭ほどもいるだろうか。小梨平のサマーテント付近でも猿が我が物顔で闊歩していたが、以前には見られなかった光景だ。
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サマーテントには、現役一年の女子部員が来ていた。小柄でかわいいが、「山岳部に入りたくて信大にきた」というだけあってたくましい。
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お世話になったサマーテントの皆さんにお礼を述べ、帰路につく。沢渡の温泉で汗を流し、帰宅した。
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