2013年10月01日
裏剱・仙人池
(仙人温泉小屋〜欅平)
3人
 
仙人温泉小屋〜欅平での写真
 
仙人温泉小屋 5:40 蜆谷 15:25
雲切新道最高点 6:28 シジミ坂 16:36-16:41
仙人ダム 8:57-9:15 欅平駅 17:06-17:25
阿曽原温泉小屋 10:40-10:50 宇奈月 18:30-19:33
折尾谷 13:13-13:29 地鉄富山 20:56-21:10
志合谷 14:43-14:51 自宅 23:05
 
 
 夜明け前、東の方に煌々とした二つの明かりが見えていました。右が唐松山荘で、左が白馬山荘だそうです。晴天を予想して行動し始めているのでしょうか。

 
 4時半朝食、5時40分出発です。いったん川原まで下り、源泉まで登り返します。熱湯のパイプが空中を走っています。温泉はこうして引かれていたのでした。さらに登ると、「雲切新道最高点」という標識がありました。今回の山行で、たった一つのピークらしいピークです。ここから仙人ダムまではひたすら下るだけです。
 急な下りで、鎖、ロープ、ハシゴの連続です。この道、7年前に開通したばかりだといいます。フカフカした所が多く、木や竹の根が、時には手助けしてくれますが、邪魔をすることの方が多かったと思います。
 前方の松の木の枝に動くものがいました。リスです。あちこち飛び移りながら、下の林の中へと消えていきました。しばらくして今度は、木々がザワザワッと音を立て、何か吼える声がしました。猿の軍団が移動しているのでした。ボス猿が警戒して吼えていたのでした。野生たっぷりの雲切新道の下山でした。
 黒四地下発電所からの送電線の出口が見え、大きく左にカーブした所で2人の男性が登ってきました。仙人谷を渡り、黒部川のほとりに出ると、仙人ダムはすぐそこでした。ダムサイトの建物の上で昼食。

 
 ダムの事務所の中を通って行くと、トロッコの線路がありました。黒四地下発電所へ物資などを運ぶもののようです。トンネルが続きます。蒸し暑さは温泉でもあるのでしょうか。出るとこの谷には似合わないコンクリートの建物がありました。谷に沿って回り込んでいくと、もう一棟。そのまま水平道になるのかと思いきや、突然の急登が待ち構えていました。一気に150mほど登るとようやく水平道(旧日電歩道)です。

 
 阿曽原温泉小屋の手前で、今度は120mもの急降下。小屋で水を補給しながら、ここの青年と話をしました。「これから紅葉のシーズンでお客が増えることを期待しているが、台風の接近が問題ですね」と言っていました。露天風呂は、キャンプ場の先からさらに下った所にあります。昔来た時とはかなりイメージが違っていました。

 
 阿曽原谷を越えてしばらく行くと、またまた150mもの登り返しです。陽射しが強くなり、これが結構きつい登りでした。上り切ると再び水平道です。樹木が茂っている所は下が見えませんが、無くなると足下に川原が見えます。地図上では傾斜があるように見えますが、実際は垂直に近く、200m位ありそうです。

 
 折尾谷に近づいていくと、対岸にこれから行くであろう水平道が見えますが、垂直の壁に横一線に道が切られているように見えます。よくもまあ、こんな所に道を切ったものだと感心しました。
 折尾の大滝は立派な滝でした。50mほどもあるのでしょうか。落ち口を見上げると、飛沫が太陽に輝いてきれいでした。そして谷がだんだん浅くなって折尾谷です。谷に堰堤が築かれていて、その中が隧道になっていました。途中が水溜まりになっていてたいへんでした。

 
 折尾谷の手前から見えた、あの水平道に入りました。ここから志合谷までは、足元が切れている所が多く、まったく気が抜けません。左手の岩盤に8番線が2本ツイストして渡されているものの、これはバランスをとるためのもので、滑落したらまったく役には立たないでしょう。
 東から西へと大きく回り込んだ途端、前方に奥鐘山の岸壁が見えました。圧倒的な迫力です。

 
 志合谷は、谷の下を長い、真っ暗なトンネルが通っています。グルッと回っているため、光はまったく届きません。しかしこんなトンネルをよくも掘ったもんだと感心しました。

 
 ここからは時間との勝負になりました。阿曽原から予想以上にかかってしまったため、欅平発の最終便に間に合うかどうかです。右側は相変わらず切れ落ちていますから、そんなに急ぐこともできません。疲れも溜まってきていますから、より慎重にならざるを得ないのです。
 欅平を発着するトロッコ電車の警笛が、「ぷわーーーん」と聞こえてきました。この辺りの黒部川は真っ直ぐなので、聞こえてくるようです。携帯電話も通じるようになりました。送電線の鉄塔が近くに寄ってきました。時間に追われてはいてもうれしくなりましたね。

 
 蜆谷の付近で、鳥の騒ぐ声がしました。猛禽類の泣き声のようですから、ひょっとしてイヌワシかも知れませんが、立ち止まって観察している余裕はありません。
 欅谷を過ぎると電車の警笛はさらに大きく聞こえるようになりました。そして水平道が終わり、稜線の下りに変わりました。
 鉄塔があって「シジミ坂」という看板があり、道は右折して急降下していきます。もう欅平はすぐそこです。なんとか間に合いそうです。

 
 「滑り込みセーフ」という感じでしょうか。夕闇が迫る中、欅平駅に着きました。ほぼ12時間、長丁場の下りでした。
 「電車、寒いですか?」「寒いですね」「暖かい方にします」「ハイ、分かりました」ということで、窓がある車両に乗りました。1両に我々3人だけ。どの車両も1グループだけのようです。いきな計らいですね。

 
 宇奈月駅でハプニング。トロッコから地鉄への乗り換えで、近道があることを知らず、地鉄駅に着いたら電車は出た後でした。まあそれで、夕食にありつけたのですが。

 
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