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いよいよトレッキングの始まりである。今日(5月11日)の行程は、シャブルベンシ(Syqbrubenshi 1503m)からラマ・ホテル(Lama
Hotel 2470m)までの標高差1000mを約10kmかけて登る。ちなみにラマ・ホテルは地名である。 |
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シャブルベンシで、北から来るローテ・コシ(Rhote Koshi Nadi)に、東からランタン・コーラ(Langtang Khola)が合流してトリスリ川(Trishuli
Ganga Nadi)になる。ランタン・コーラの流域が、めざすランタン谷である。 |
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ローテ・コシに架けられたつり橋を渡る。案内書にはすぐランタン・コーラのつり橋を渡るように書いてあったが、今は右岸をそのまま進み、2Km程行ってからつり橋を渡る。この間は、サボテンが自生しているなど、不思議な景観である。橋の手前の茶屋で休む。 |
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橋の対岸は、起伏に富んだ樹林帯の道だった。スミレの花が咲いている。いくつかの変種があるようだ。先に行ったポーターが、手に何かを持って待っていてくれた。かわいい木の実だ。甘酸っぱい。 |
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パイロ(Pairo 1900m)の手前で急坂を登っていると頭上から、「久しぶりに日本人と話をした」という声が聞こえた。
「日本の方ですか?」
「大阪市大のものです。ランタン・リに行っての帰りです。」
「じゃあ、信大OBの渡部さんも一緒ですか?」
「はい、ミツノリさんはすぐ上にいますよ。山の方は、稜線上に大きなクレバスがあって、それを越えられず、登頂を断念しました。」
「それで2日も早いんですね。」
パイロで真っ黒に日焼けした渡部氏に会うことができた。
「登頂できなかったそうですね。」
「すごく大きなクレバスでしたよ。それで下山が早くなりました。」
「残念でしたね。」
「西ネパールの方をトレッキングしてから、帰国する予定です。」
「気をつけて行ってきてください。」
パイロには、ホットスプリング(Hot Spring)すなわち温泉があるようだ。ミルクティーで喉を潤す。
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この先で谷は急に狭くなり、そしてついにはあの膨大な水の流れが消えてしまい、ただ巨岩の間から轟音が聞こえるだけになってしまった。そんな対岸の岩肌にいくつもの蜂の巣がぶら下がっていた。この蜂蜜はたいへん貴重なものらしい。
その下の岩の上に動くものがいる。銀色の毛に覆われ、真っ黒な顔をしたサルの一団だった。悠然と林の中に消えていった。 |
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再び開けた川原に降り、登り返すとバンブー(Bamboo 1970m)だ。何軒かのロッジがある。入口に近いロッジで昼食。
バンブーを出てすぐ、再びランタン・コーラに架けられたつり橋を渡る。橋脚の岩陰に茶屋があり、何羽もの鶏が土を掘り返しては、突いていた。
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谷底が徐々に広がり始め、喬木が多くなる。「5月の初めにはいっぱい咲いていた」というシャクナゲだが、今はもうわずかにその面影を残しているだけだった。それでも時々、いっぱい花をつけたものもあり、それなりに楽しむことができた。
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レムチェ(Remshe 2399m)は素通りする。さらに谷は広がり、その奥に時々、雪をいただいた山が見える。
朝は晴れているのだが、午前中には山々に雲がかかり、午後になると谷を吹き上げる風が強くなる。この風が大地を乾燥させているようだ。
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樹林の中に忽然とロッジが現れる。今日の宿泊地、ラマ・ホテル(Lama Hotel 2410m)である。数件のロッジがある。ポーターが先に着いて待っていた。
一応ホットシャワーがあることになっているが、太陽熱で暖めていて、「今日は暖かくない」というので、水で顔を洗うだけにする。
この日は、6時起床、7時朝食、8時出発。 |
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