夜中、風がテントを揺さぶっていた。おまけにかなり冷え込んだので、よく眠れなかったが、眼がさめた時はもう5時。あわてて起きる。 |
朝食をとり、テントをたたむ。45分遅れで出発。気温は5℃。雲が全天を覆っており、好天は望めない。山脈に沿って少し雲が切れているだけだ。 |
今日は、あまり調子がよくない。針ノ木岳の頂上まで喘ぎ喘ぎ登る。頂上に着くと、3人パーティが種池方面に下りて行った。子連れの夫婦が岩かげで風を避けている。子どもが寒がっていた。ガスっていて何も見えないが、時々ガスの切れ間から槍が見える。その槍の下に、高瀬ダムが大きく広がっている。10人ほどのパーティが登ってきたので出発する。 |
下りは急傾斜だ。これを逆から来て登るのは大変だ。思いきり下って、コルに着く。そして、今度は登り。スバリ岳だ。ここで、もう、種池から来たという人に出会う。昨日は、五竜からだという。何という早さだ。 |
スバリ岳は、北西にのびる尾根を少し下り、それからトラバースして北の尾根に出る。まったくガスっていてすぐ後ろのスバリ岳が見えない。せまい岩稜が続く。赤沢岳の登りも長い。黒部湖がガスの切れ間から時々見え、そのむこうに立山、剣岳の下の方だけが見える。それでもたまには、頂上が見えることもある。 |
赤沢岳の手前でポツポツあたってきた。白いものが混じっている。あられ混じりの雨だ。雨具を着る。100m程下る。丁度この辺りの下を黒四への関電トンネルが横切っている。そして、鳴沢岳の登り。雷鳥が出てきて、頂上まで道案内してくれる。頂上で先に行った3人パーティに追いつく。しばらくして出ていく。ここで空腹をいやす。 |
新越乗越山荘の手前で、また、3人組に追いつく。山荘は、中で人が動く気配がするだけでまったく静かだ。かなり疲れてきたので休む。彼らは、そのまま出て行った。鳴沢岳で1枚脱いだので、寒くなる。体が冷えないうちに歩きだす。 |
岩小屋沢岳の登りも長い。少しバテ気味なのでよけい長く感じる。所々で立ち止まり、呼吸を整えては登る。2623mのピークがあり、少し下っていよいよ岩小屋沢岳だ。着くと、丁度3人組が出て行った。この3人組、50代の男性2人と20代後半の女性1人という奇妙な取り合わせ。小屋泊りで、今日中に扇沢に下りるという。種池までずっと追いつ追われつだった。 |
岩小屋沢岳から、種池までは、実に長かった。小ピークがいくつかあり、その度に喘ぎながら登る。最後の小ピークを下ったところで3人組に追いつく。道は、左に回り込んで樹林帯に入る。高度がかなり下がった感じだ。このあと快適な尾根道が続く。種池小屋への最後の登りには参った。バテバテで登り、キャンプ場に出た時には、ホッとした。 |
種池小屋前には、何組かの登山者がたむろしていたが、例の3人組は見えなかった。これから新越の方へ行く人、冷池へ行く人。扇沢から登って来た人が大半だ。時間が早いので冷池まで行くことにする。 |
爺ヶ岳の登りは、ダラダラ坂だ。上部では、少し急になる。頂上は、巻き道があるが、せっかくなので登ることにする。腹の調子が今一なのでオオキジを打つ。少し調子がよくなる。あとから来た人たちが、巻き道を通って行く。 |
中央峰とのコルに、「コマクサを守れ」の看板があり、冷池から来た人が、コマクサを探していた。この峰には登らずに行く。その先の北峰には登る道がないようだ。トラバース道をずんずん進む。そして、冷池への下りにかかる。グングン下って、赤岩尾根の頭までくると、もう冷池は、すぐそこだ。赤岩尾根への分岐を過ぎたところで、下から登って来た4人連れの女性の一人に声をかけられる。見ると、全国連盟の事務局にいた滝沢さんだ。鹿島槍から針ノ木へ行くという。互いに激励して別れる。道は、樹林帯に入って最低鞍部になり、小屋まではまた登り返すことになる。そしてテント場は、そのまた上だ。 |
テント場には、すでに5張りほどのテントがあった。少し傾斜があるが広い所が空いていたのでそこに張る。水と缶ビールを買いに行く。水、150円/1リットル。ビール、570円。 |
立山と剣を紅く染めて夕日が沈んで行った。大窓、小窓、三の窓が燃えていた。 |