1968年03月23日
塩見岳〜赤石岳
(春山合宿)8日目
 
 
TS 6:30 荒川岳中岳 10:40
カール 7:15 大聖寺平 12:20-12:45
荒川岳前岳 9:55-10:05 TS(小赤石肩) 13:20
 
 
 晴のち曇
 朝焼けで色づいた西の空の方に、雲が出てきている。
 テント地からコルまで下り、トラバースしながら下降。2500mあたりまでさがる。
 荒川岳のカールを直登する。岳樺の疎林を登り、樹木もなくなるころより傾斜が急になる。左側の尾根に続く支稜に取り付き、岩とハイマツと雪のミックスした斜面を登る。
 取付点より約3時間30分。思ったより時間はかからなかったが、疲れた。足がおかしい。
 前岳は、50m程下をトラバースして、中岳とのコルに出る。夏道通りである。
 前岳より大聖寺へおりる尾根を偵察。トレースあり。降りられそうだ。
 中岳へ行く。風が強く、すぐ引き返す。風は、支稜から左側尾根に出た時より強くなり、吹き飛ばされそうだ。雲はついに前岳の尾根にまでかかってきた。富士も赤石も塩見も雲のため見え隠れだ。
 大聖寺へは夏道を通らず、前岳より下る。岩陵に雪がついている。注意すれば危険なことはない。トレースがあるので、それに従う。
 岩陵を下りきると今度は登りである。疲れもあるので、ゆっくりと登る。左側の大きく雪が付き、亀裂が入っている。落ちることはないだろうが、轟が心配する。50m程下ると、ほぼ平らな尾根が大聖寺まで続く。下からは、荒川小屋からの道が上がってきている。
 雲の多い(というか、霧か)中を、小赤石に向かう。約100m程登り、左折するところにテントを張る。
 雷鳥が2羽(多分夫婦だろう)とびまわっている。近くまで行って写真を写す。人懐こく、そばに行っても逃げない。姿に似合わず鳴き声が悪い。まさに雷(かみなり)鳥だ。
 後4日だ。明日は赤石から大沢岳あたりまで。明後日は聖岳を経て聖平又はもっと下へ。下山に二日かかるから丁度27日になる。雨にでも降られれば送れる。28日昼までにはどうしても帰りたい。
 荒川岳前岳付近が、地図と違うようだ。
 前岳から北西に伸びる尾根は、左側が切れており、登ることは困難。夏道でさえ、カールを行っている。頂上もカールの方を巻いている。落ちたら下まで行くだろう。
以上 杉本
 
 
 10分で尾根の最低コルに出る。
 ここよりトラバースして、前岳から出る二本の尾根の間に出る。ここを快適にアイゼンをきかし登る。最後は左側の尾根に取り付く。氷った雪ともろい岩は、重い荷が無くてもいやだ。ステップをきざみきざみ、二本の尾根の合致点に出る。
 前岳までに3つの岩峰がある。雪の状態もいいので、北側を巻いて中岳との中間に出る。
 出発直後から追ってきた雲が、ついに回り中を取り囲んでしまい、富士山のみがポッカリ頭を出している。
 悪沢岳をあきらめ、前岳より出る尾根を下る。アイゼンがかわいそうになる程のガレ尾根だ。テンバと決した所で、真っ白な雷鳥夫婦の歓迎を受く。
 
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