1974年12月30日
表銀座〜槍ヶ岳(3日目)
 
桑原巌、田中進、古木博明、杉本敏宏
 
合戦小屋 8:00 大天井岳 14:05
燕山荘 9:00-9:25 大天荘 14:25
つり岩 10:05-10:15 設営 15:00
喜作レリーフ 12:35-12:45    
 
 4時起床。星が出て、すばらしい天気。朝食の雑煮を作り、終ったのが6時半。夜が明け始める。東南東の空に富士山がくっきりと浮かび上がっている。大キジを打ちながらの眺めは素晴らしかった。
 燕山荘に1/5の食糧とワカンを置いていくことにした。荷物を整理している間に、雲が出、風も吹きはじめた。
 為衛門のつり岩に着く頃は、もう吹雪。高瀬川から吹き上げてくる風は、湯俣の湯の臭いを運んでくる。十人位のパーティが休んでいた。
 切り通し岩の喜作レリーフは、突風のなかに一人静かに我々を待っていた。ここから大天井岳へ直登。夏道は殆ど通らない。呼吸をするような風が、我々を吹き飛ばそうとしたかと思うと、今度は逆に吸い込もうとする。歩く体力よりも、風に耐える体力の方が必要だ。風を避けるため這って登ることにした。それでも大変だ。ひょっと立ち上がった途端に突風に突き飛ばされ、2m程滑ってしまった。桑原さんが止めたらしい。睫毛に氷がついて何も見えない。オーバー手袋越しに手で暖めると融けて落ちるが、今度は涙が出て、それが氷りついてしまう。
 やっとの思いで頂上に着いた。そして大天荘への下り。ガスで何も見えない。テントらしき影が見えた。はっきりしない。一瞬ガスが晴れた。何と目の前に立派な建物があるではないか。冬の荒れた日はこんなものだ。
 冬季小屋に入ってみた。しばらくは何も見えない。ラジウスの火の明かりを頼りに奥へ入ると、何人かがいた。再び外に出て、テント設営。丁度ブロックの積み跡があるので、それを利用した。
 ここは、大学四年の冬に入山し、一週間ほど閉じ込められたことがある。その時は、古い小屋だったが、今は新しくなっている。今日は、あの時のように荒れなければよいが。
 
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