4時起床。星が出て、すばらしい天気。朝食の雑煮を作り、終ったのが6時半。夜が明け始める。東南東の空に富士山がくっきりと浮かび上がっている。大キジを打ちながらの眺めは素晴らしかった。 |
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燕山荘に1/5の食糧とワカンを置いていくことにした。荷物を整理している間に、雲が出、風も吹きはじめた。 |
為衛門のつり岩に着く頃は、もう吹雪。高瀬川から吹き上げてくる風は、湯俣の湯の臭いを運んでくる。十人位のパーティが休んでいた。 |
切り通し岩の喜作レリーフは、突風のなかに一人静かに我々を待っていた。ここから大天井岳へ直登。夏道は殆ど通らない。呼吸をするような風が、我々を吹き飛ばそうとしたかと思うと、今度は逆に吸い込もうとする。歩く体力よりも、風に耐える体力の方が必要だ。風を避けるため這って登ることにした。それでも大変だ。ひょっと立ち上がった途端に突風に突き飛ばされ、2m程滑ってしまった。桑原さんが止めたらしい。睫毛に氷がついて何も見えない。オーバー手袋越しに手で暖めると融けて落ちるが、今度は涙が出て、それが氷りついてしまう。 |
やっとの思いで頂上に着いた。そして大天荘への下り。ガスで何も見えない。テントらしき影が見えた。はっきりしない。一瞬ガスが晴れた。何と目の前に立派な建物があるではないか。冬の荒れた日はこんなものだ。 |
冬季小屋に入ってみた。しばらくは何も見えない。ラジウスの火の明かりを頼りに奥へ入ると、何人かがいた。再び外に出て、テント設営。丁度ブロックの積み跡があるので、それを利用した。 |
ここは、大学四年の冬に入山し、一週間ほど閉じ込められたことがある。その時は、古い小屋だったが、今は新しくなっている。今日は、あの時のように荒れなければよいが。 |