1975年01月02日
表銀座〜槍ヶ岳(6日目)
 
桑原巌、田中進、古木博明、杉本敏宏
 
西岳ヒュッテ 8:15 行き止まり 13:30
赤岩岳 9:30 大天井岳 14:14
大天井ヒュッテ 11:40-12:00 大天荘 14:30
喜作新道   設営 15:10
 
 初日の出。1/1は見れなかったので、今日が初日の出。真っ赤に燃えた太陽が槍ヶ岳にあたり、冷たい白黒の世界に暖かいカラーを添える。東鎌尾根は尾根筋を境にすばらしいコントラストを見せている。風もなく、穏やかな朝。
 赤岩岳に着く頃、20日月が大きく、淡くなりながら槍ヶ岳の肩にかかっていた。高瀬川も一望でき、錦絵のような雲がたなびいていた。天候はますます良く、暑いくらい。セーターを脱いだり、オーバー手袋をはずしたり。12/31とは、月とスッポン、雲泥の差。
 大天井ヒュッテから近道をしようということで、喜作新道を行くことにした。陽があたり、快適なトラバース。ところがいくつかの支稜を越すうち、だんだんと険しくなってきた。特に、ルンゼには雪が詰まり、ここに降りるのが大変。下の方にはカモシカの足跡がたくさんある。「動物の通れるところ、人間の通れないことはない」と頑張ってみたものの、遂にDown。おまけに風が出はじめ、裏銀の後ろには黒い雪雲があらわれてきた。丁度手ごろな支稜を見つけ、頂上に向けて直登。きつい登りだったが無事、正規ルートへ出ることができた。急がば回れ。しかし、冬の喜作新道がこんなにも厳しいとは思わなかった。
 3度目の大天井頂上をあとに、再び大天荘にテントを張ることにした。今日は天候も良く、すぐ、小屋を見つけた。それでも、風が強くなりだした。
 ブロックを積んだ跡を見つけ、そこにさらに高く丈夫に積み直し、立派な居住地を作った。そうこうしているうちに、気温はぐんぐん下がり、手袋をしていても手が冷たくてどうしようもない。カメラを持つ手が自由に動かないのだ。写真を撮るのをやめ、あわててテントのなかに入った。気温測定、−18℃。
 夜は風も小康状態。真冬の星空は大変美しい。煌くオリオンが勇壮に上がり、大熊が小熊を従え、カシオペアのWが北極星を守る。
 松本と大町の「街の明かりがとてもきれいね・・・」
 
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